兼村研究室 [ 素粒子理論1(兼村)グループ ] では、素粒子論の研究をしています。素粒子とは簡単にいえば、物質の最小単位(万物の根源)のことであり、素粒子論は宇宙を構成する素粒子とその性質を明らかにする学問です。万物の根源を問う学問は古代ギリシャ時代に始まるとされますが、素粒子論はその現代版にあたり、現在もなお発展途上の学問です。自然に対するこれまでの知識や理解はまだまだ完全でなく、理論は未完成であり、さらに新しい実験や観測によって得られる新しい知見が常にこの学問の地平を拡げています。

兼村研究室では、素粒子論の中でも素粒子現象論や素粒子論的宇宙論といった分野を中心に研究しています。素粒子標準理論はシンプルで多くの現象を説明できる優れた理論です。しかし21世紀の現在、標準理論では説明できない現象が知られています。宇宙における物質の存在(物質・反物質非対称性)、暗黒物質、ニュートリノ微小質量の起源、宇宙インフレーション、暗黒エネルギーなどです。これらの現象を説明する標準理論を超える新しい理論が必要です。これらの諸問題を解決するために、兼村研究室では標準理論を超える新理論を探求することを第一の目標としています。例えば、電弱対称性の自発的破れの物理(ヒッグス粒子の物理)を切り口に理論的洞察と実験からのインプットを用いて研究しています。

メンバーと(2021)

兼村研究室はスタッフ(教授、准教授、助教)3名に加えて、2022年1月現在は博士研究員4名、博士課程学生5名、修士課程5名、外国人留学生1名からなり、日々議論を重ねつつ共同研究を進めています。当研究室の博士号取得者の多くは、素粒子の研究者を目指してポスドクとして欧州やアジア各国で活動しています。

兼村研究室メンバーリスト

兼村研現象論定例会の構成メンバーリスト(2022年)

教授 兼村 晋哉 Shinya Kanemura
准教授 佐藤 亮介 Ryosuke Sato
助教 柳生 慶 Kei Yagyu
特任研究員 片寄 泰佑 Taisuke Katayose
学振研究員 モンダル タモイ Tanmoy Mondal
博士課程 田中 正法 Masanori Tanaka
片山 兼渡 Kento Katayama
下田 誠 Makoto Shimoda
村 勇志 Yushi Mura
特別研究生 リカルド フロレンティノ Ricardo Florentino
修士課程 榊原 蒼司 Soshi Sakakibara
鄧 暁龍 Shoryu Den
グオハオ イン Guohao Ying
谷口 宙 Sora Taniguchi
山中拓夢 Takumu Yamanaka
リナ ヤンセン Lena Janssen(交換留学生: ハイデルベルク大)
マテウス ノビンスキ Matthias Nowinski(交換留学生: ミュンヘン工科大)

博士号取得者のリスト

博士号取得者と就職先のリスト(兼村の直接指導学生のみ記載)

2012 柳生 慶 大阪大学理学研究科 助教
2013 鍋島 偉宏 予備校講師
2014 谷口 裕幸 IT系企業 開発職
2016 菊地 真吏子 日本大学工学部 助教
松井 俊憲 韓国高等科学研究院(KIAS)博士研究員
町田尚基 IT系企業 開発職
2019 桜井 亘大 東北大学理学研究科 特任助教→ワルシャワ大学特任助教
端野 克哉 北京大学 博士研究員 → 東京理科大学 博士研究員
2021 久保田 充紀 電気系メーカー 開発職
2022 愛甲 将司 高エネルギー加速器研究機構(KEK) 学振特別研究員
榎本 一輝 東京大学大学院理学系研究科 学振特別研究員→韓国科学技術院(KAIST)

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兼村研究室での大学院生の指導について

主宰している研究会・国際研究集会

阪大で年間3〜4回の全国規模の研究会「新ヒッグス勉強会」を実施しています。2012年以来10年にわたって続いています。毎回40〜50名の素粒子論の研究者や大学院生が全国から集います。また、新ヒッグス勉強会の活動を基礎に、2年に1回程度ヒッグス粒子の物理と新物理理論に関する国際会議 Higgs as a Probe of New Physics (HPNP)を実施しています。150〜200名の専門家や大学院生が世界中から集まる国際研究集会です。