研究内容

兼村研究室 [ 素粒子理論1(兼村)グループ ] の研究内容

素粒子標準理論は多くの現象を説明できる優れた理論ですが、21世紀の現在、標準理論では説明できない現象が知られています。宇宙における物質の存在(物質・反物質非対称性)、暗黒物質、ニュートリノ微小質量の起源、宇宙インフレーション、暗黒エネルギーなどです。これらの諸問題を解決するために、兼村研究室では標準理論を超える新しい物理理論を探求することを第一の目標としています。

標準理論は、素粒子の相互作用を説明するゲージ原理と、質量を説明する電弱対称性の自発的破れという2つの柱から成り立っています。標準理論が構築されて半世紀以上が経ちましたが、ゲージ原理は徹底的に検証されて確立している一方、対称性の自発的破れの部分は理論的な根拠に乏しく、標準理論と異なる様々な可能性も許されています。対称性の自発的破れを担うヒッグス粒子は、2012年にLHC実験で存在が確認されたばかりです。詳細は依然として未知なのです。電弱対称性の自発的破れの物理(ヒッグス物理)が標準理論を超える未解決の諸問題と密接に関係しているという仮説は極めて自然な仮説です。

兼村研究室では、この仮説に基づいた理論研究を推進しています。電弱対称性の自発的破れの物理(ヒッグス物理)を切り口に、理論的洞察と実験からのインプットを用いて、標準理論を超える新理論を探求し、ビッグバン直後の初期宇宙での様々な物理現象の解明を目指しています。さらに、素粒子現象論や素粒子論的宇宙論の分野全体を見据えながら、新しく重要で面白いテーマを常に模索しています。

近年は以下のようなテーマの研究を実施しています。

  1. 電弱対称性の自発的破れ(ヒッグス粒子の物理)の新モデルの理論的研究
  2. 標準理論を超える新物理モデルや拡張ヒッグスモデルに基づく加速器現象の理論研究
  3. 様々な拡張されたヒッグスモデルのくりこみ理論と輻射補正に関する系統的研究
  4. 電弱バリオン数生成に関する新モデルの構築とその検証可能性に関する理論的研究
  5. 電弱相転移の理論とその重力波や原始ブラックホール観測を用いた探求法の理論研究
  6. 軽いWIMP暗黒物質に関する新モデルとその現象論研究
  7. ニュートリノ微小質量生成機構の新モデルの構築とその検証に関する理論研究