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ドメインウォールフェルミオンで探るQCDのトポロジー

基盤研究(B) 18H01216
研究目的
量子色力学 (QCD) では、ゲージ場のトポロジカルな励起が、カイラル対称性の自発的対称性の破れを引き起こしていると考えられている。カイラル対称性が回復する高温相では、トポロジー励起は消失しているか、少なくとも強く抑制されているはずである。本研究では、カイラル対称性を保つフェルミオン作用を用いた格子QCD シミュレーションを行い、QCD のトポロジー励起の詳細を高精度で定量評価することを目指す。これにより、有限温度 QCD に知られていなかった 1 次相転移を確認できる可 能性があり、その場合は宇宙初期の相転移シナリオにも影響を与える。さらに高温領域の結果はアクシオン暗黒物質の残存量にも制限を与える。厳密なカイラル対称性を保つ作用を用いて有限温度 QCD のトポロジーを探るのは世界初の試みであり、対称性を損なう形で行われてきた従来の研究とは異なる、問題への明確な答えが引き出せるはずである。
主な研究成果

ドメインウォールフェルミオンで探る格子ゲージ理論のトポロジー

新学術領域研究(研究領域提案型)"次世代物質探索のための離散幾何学"公募研究 18H04484
研究目的
ドメインウォールフェルミオンとは、1992年 Kaplan によって提唱された格子上のフェルミオン定式化である。質量が不連続 となる4次元ドメインウォールを仮想的な5次元空間に置くことで、そこに局在した4次元フェルミオンを実現する。これは、表面にディラックフェルミオンが現れるトポロジカル絶縁体と同じ原理である。ドメインウォールフェルミオンはカイラル対称性を保つので、それと密接に関連しているゲージ 場のトポロジーとも相性がよい。 本研究では、ドメインウォールの幾何学的構造をさらに詳細に研究し、Atiyah-Patodi-Singer(APS)の指数定理 を用いてアノマリー降下方程式のフェルミオン場による非摂動的定義を与えることを目的とする。これは、カイラルゲージ理論を高次元時空中のトポロジカル物質系としての正則化につながると考えている。
主な研究成果

格子QCDにおける有限体積効果を1%以下に抑えるためのパイ中間子有効理論の解析

若手研究(B) 研究課題番号 25800147
研究目的
CERN の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)で Higgs 粒子が発見されたが、その振る舞いは素粒子標準模型と無矛盾である。一方、暗黒物質やニュートリノ振動の実験結果により、標準模型を超える新しい物理の存在も確実と言える。このような状況では、素粒子実験、理論の双方を用いて、素粒子標準模型を精密に検証し、実験と理論のわずかな差異を探ることで、新しい物理への糸口をつかむ、ボトムアップ型の研究がますます重要になる。本研究の目的は、強い相互作用を記述する量子色力学(QCD)を精密に理論計算するため、格子QCD数値計算の主要な系統誤差である有限体積効果を精度よくコントロールすることにある。
主な研究成果